映画「蜜蜂と遠雷」は、直木賞と本屋大賞を受賞した作品で、文字から音が聴こえてくるとまで言われた恩田陸の小説を、実写映画化。
駆け出しピアニストの登竜門のコンクールに出場する3人の才能と1人の秀才ピアニストの苦悩や葛藤がお互いを共鳴させながら、彼、彼女が進化していく、また一人の人間として成長するストーリーが心地いい作品です。
キャストは、「勝手にふるえてろ」の松岡茉優、「新聞記者」の松坂桃李、「レディ・プレイヤー1」の森崎ウィンらがつとめる。
監督は、妻夫木聡と満島ひかり主演の「愚行録」(第135回直木賞の候補)の石川慶がメガホンをとる。
作品情報
製作年 : | 2019年 |
上映時間: | 119分 |
ジャンル: | ヒューマンドラマ 音楽 |
監督 : | 石川慶 |
キャスト: | 松岡茉優 松坂桃李 森崎ウィン 鈴鹿央士 臼田あさ美 ブルゾンちえみ etc |
「文字から音が聴こえてくる」と言われ、映像化は出来ないと言われていた恩田陸の青春小説を、コンクールのドキュメンタリータッチに表現された作品です。
若手ピアニストの登竜門のコンクール、芳ヶ江国際ピアノコンクールに挑む天才と秀才の4人のピアニストが、とってもピュアな音楽のギフトを世界に奏でる素敵な物語です。
「リトル・フォレスト 冬・春」、「勝手にふるえてろ」の松岡茉優が、前に出すぎない主役を演じます。
この作品は、誰が主役でもおかしくない、個性、魅力を持ち合わせて、出演者のコラボレーションが魅力の作品です。
漫画「ピアノの森」の世界観に近い印象を受けました。
自然に溶け込んでいるピアノは、この映画と重なります。
音って、落ち着いて聞くと、あらゆる場面、場所から溢れています。
それをどう感じるのか、どう受け入れるのかで、ワクワクしたり、ドキドキしたりします。
目を閉じて、無心で何かを感じる、それが素敵だと気付ける映画でした。
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あらすじ
天才と秀才のピアニストたちが挑戦する芳ヶ江国際ピアノコンクールに参加する若き4人の物語です。
ピアノを教えてくれた最愛の母を失い、ピアノが弾けなくなったの天才少女・栄伝亜夜(松岡茉優)は、7年間のブランクを経て、再びコンクールに挑戦する。
音大出身で、自分の思い音楽への努力を捧げながら、楽器店で働いているコンクール年齢制限ギリギリの高島明石(松坂桃李)は、家族に応援を受けながら、最後のチャレンジに臨む。
名門ジュリアード音楽院で期待される、完璧な演奏技術と感性を武器にしているマサル・C・レビ=アナトール(森崎ウィン)は、優勝すると揶揄されながら、コンクールに臨む。
彗星のごとく現れた、パリで行われたオーディションで天才を発揮した少年・風間塵(鈴鹿央士)は、先ごろ亡くなった世界最高峰のピアニストからの「推薦状」を背負って、このコンクールで自分の欲しい物を見つけるために参加する。
彼、彼女の真剣な演奏は、見る者、みんなに影響を!
自分との戦い、プレーヤーとの熱い戦いの中で互いに刺激しあい、共鳴して、それぞれが成長していく4人のストーリーです。
天才と秀才の違いとは?作品を見て感じたこと(ネタバレ・感想)
天才と秀才の対決、彼らは何を思い、何を目指していたのでしょうか?
自分との戦いだったと思います。
栄伝亜夜(松岡茉優)は、母親からもらったギフトを、またもらいたくて、コンクールにチャレンジします。
でも、母親からのギフトは、彼女にも誰かにギフトをして欲しい願いと、その力を実行できるスキルを与えてくれたことでした。
そのヒントは、「世界は音で溢れている」でした。
心を沈めて、聞いてみると色々な音が溢れている、それを聞くと楽しくてたまらない。
その一つが、自分のピアノだと気付きます。
彼女は、自分が奏でるピアノが、自分だけのものでない、自分の役割を見出します。
天才は、何か特別な役割がある、それに気付くか気付かないかで、天才を続けられるかが決まるのでしょうね!
それぞれの天才は、それぞれの課題と夢を持ち、自分と対峙していました。
彼女だけは、母との繋がりを求めて、常に自分とピアノをその関係に位置づけています。
ただ単に、母親との楽しい思い出に浸れる瞬間だったのだと思います。
天才であること、それに恵まれていること、夢を持っている他の天才・秀才たちに教えてもらいます。
この映画を見るまでは、秀才の延長に天才がいると思っていました。
努力を卓越した者たちが、天才の称号を得ている。
天才たちは、自分の能力によって、役割を与えられていたのですね!
高島明石(松坂桃李)の「生活の音」(家族が喜ぶ)で、栄伝亜夜と風間塵(鈴鹿央士)は自らの音楽に楽しいをプラスします。
そして、風間塵が彼女に、「お姉さん、何か迷っているみたい」と言われ、自分の母への思いと、自分のピアノへの思いを理解し始めます。
自分と母とピアノを対峙させたことのない彼女にとって、世界が変わった瞬間だったと思います。
マサル・カルロス・レヴィ・アナトール(森崎ウィン)の悩みを、子供の頃の純粋な楽しいを思い出させてあげ、心が通い合うことで彼を開花させます。
天才同士の連鎖は、鳥肌が立ちました。
栄伝亜夜の母が、「世界は音で溢れている」と彼女に教えたのは、誰かと共鳴するだけで、みんなが幸せになれるヒントを伝えたのたかったのでしょう。
天才と言われたたことで、本当の自分を見失っていた栄伝亜夜は、それぞれ違うパズルのピースを探す天才といっしょに成長しました。
彼、彼女たちは、自分の音楽、夢を探していたのだと思います。
本当の思い、情熱、自分が足りないもの、みんなの大切なパズルのピースが見つかり、全てが一つになり、新しい出発になります。
この映画は、彼、彼女の出発にすぎないかもしれませんが、大きな一歩だと思います。
自分たちの役割、可能性の素敵さを教えてくれました。
まとめ(おすすめ・考察)
同じ思い、同じ好き、同じスキルで、お互いが共感して、共鳴するのは、とてもホットでした。
世界中で溢れている、誰もが耳にする音楽が、自分と他の誰かと繋がり、みんなを幸せにする。
天才の世界観はわかりませんが、彼らの熱い気持ちがとても心に響きました。
また、共鳴する姿を見ると、自分も輝きたくなりますね!がんばります。
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